スタッフが業務や生活の中で通じて気づいたことや各事務所でのハンガーゼロ の取り組みを紹介します
2020年11月20日
ラテンアメリカの人々とともに
ボリビア多民族国 駐在 小西小百合
ボリビアの新型コロナウイルス感染者(累計)は11月6日時点で14.2万人、回復者11.4万人、死亡者8,781人。人口100万人あたりの感染者は日本の837人に対してボリビアが12,834人、死亡者は日本が14人、ボリビアが792人となっています。(注1)7月に連日1,200~1,800人の新規感染者がでて医療崩壊が起こった頃と比べると人数が減ってきてはいますが、まだ予断を許さない状況です。特にハンガーゼロ(以下HZ)支援地域のサポートチャイルド、マガリーちゃん(16歳)が10月にコロナ感染で亡くなった時、私たちは深い悲しみに襲われました。終日外出禁止令は3月22日から71日間続き、その後も外出規制が続いています。
選挙延期処置が悲劇にも発展
またボリビアではコロナとの闘いの他に、政治の権力争いによる国内の混乱がありました。特に9月実施予定だった大統領・国会議員選挙日を、暫定政府がコロナ感染拡大を懸念して1ヵ月半延期した事に対して、前大統領エボ政権を支持する人々が予定通りの選挙実施を要求。ほぼ全国で無期限の道路封鎖を実施しました。この為にコロナ治療などに不可欠だった医療用の酸素を運ぶトラックが通行できず、酸素不足の為にコロナの重症患者をはじめ、産声(うぶごえ)を上げたばかりの新生児に至るまで、40名の尊い命が失われました。また多くの地域で救急車や医療従事者の車が襲われて医療妨害が起こりました。そして選挙日が合意され、2週間後にやっと道路封鎖が解除されたのです。
このような状況のため支援地に入れなかったので、FHB(注2)では私たちスタッフが支援地の人々を励まし、現状・必要・課題等を知る為に携帯でのインタビューを実施しました。
その結果87%の人々が食料の不足状態であることがわかった為、4月から緊急支援を開始。また支援地域の生活困窮家庭に「基本食料品とコロナ感染予防の保健衛生キット(1パック100ボリビアーノス=約1, 560 円)」を配布する募金キャンペーン「ボリビア・コン・ビダ#BoliviaCOnVIDa(Bolivia with Lifeの意)」を6月から実施しました。HZからも募金を頂き、9月にHZの支援センター2地域333家庭にこれを配布すると共に、新約聖書と聖書を学ぶ冊子などもお渡しすることができて、地域の人々から大変感謝され私もとても嬉しかったです。
結局10月18日に大統領と国会議員選挙が実施され、選挙管理委員会は亡命した前大統領の政党MAS(注3)候補者が52%の票を獲得して当選、国会議員数も過半数を確保したと発表。しかし様々な不正が取りざたされ、ボリビア各地で市民の抗議行動がありましたが、11月8日に新大統領が就任しました。今尚多くの市民はMASが追随するキューバやベネズエラのような独裁政治にボリビアが変わっていく事への危機感を抱いています。ボリビアの為政者が正しく政治を行う事ができるように、皆様のお祈りを宜しくお願い致します。
注1)資料:ウィキペディア
注2)国際飢餓対策機構ボリビア
注3)Movimiento Al Socialismo (社会主義への動き)