スタッフが業務や生活の中で通じて気づいたことや各事務所でのハンガーゼロ の取り組みを紹介します
2023年01月01日
「キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。そのために、あなたがたも召されて一つのからだとなったのです。また、感謝の心を持つ人になりなさい」コロサイ3章15節
先月号で紹介した王楠穎(おうなんえい)さんは、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日、ウクライナ北東のハリキウ(ウクライナでは首都キーウに続いて2番目に大きな町)で攻撃を受けました。彼は三日間避難していた地下で爆撃が収まるようにと祈っていました。その間、食事はおろか水を飲むこともできなかったそうです。この三日間はひたすら神様に「この攻撃を止めてください。私はあなたのために働きます」とお祈りをしたと言います。その後、台湾政府が用意したバスに乗ってポーランドに避難することができました。
スタッフのジェローム・カセバが11月にアフリカのシエラレオネを訪問したときにひとりの人に出会いました。彼は手縫いの布製のバッグを通りを行き交う人々に売っていましたが、よく見ると彼の両手首はありませんでした。ジェロームは彼に話しかけ、生い立ちを聞いたのです。彼の名前はエイブラハム。彼がまだ小学生の頃、お父さんが働く町まで遊びに行きました。そこで政府に対する反乱軍の攻撃を受け、お父さんは殺され、エイブラハムは将来自分たちに復讐しないようにと両手首を切断されたのです。
エイブラハムの心と体に残っている傷は、私たちの想像をはるかに超えるものであると思います。でも彼は、人生に絶望しないで縫製の技術を身につけ、結婚をし、子どもを育てているのです。自分の身体に残っている傷を見るたびに、復讐ではなく平和を作り出すことを考えているそうです。
王さんは4月から6月までウクライナの義勇軍に入り、兵士を運ぶバスの運転手をしていました。しかし除隊をしたその日に、派遣されていた月井サムエルさんからハンガーゼロのために働きませんかとの誘いをもらいました。それから王さんはウクライナに物資を届け、病院を訪問し、難民を日本に送り出しています。ビザ取得のためにしばらく日本にいましたが、クリスマス前にはウクライナに戻りたいと日本を発っていきました。クリスマスを今も攻撃を受け、厳しい寒さと闘っているウクライナの人たちと過ごしたいと思っているのです。
平和は自然に発生するものではなく、平和を作り出す人たちによってもたらされるものであることを深く考えさせられています。
今年もよろしくお願い致します。みなさまにとって素晴らしい一年となりますように。
ハンガーゼロ理事長 清家弘久