1億5千万人以上の子どもが発育阻害 | 世界の飢餓ニュース | ハンガーゼロ

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1億5千万人以上の子どもが発育阻害

2018年度「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告

 国連が発表した最新の報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状」(2018年度版)によると、世界中で9人に1人が飢えに苦しんでいる一方、成人の8人に1人が肥満であることが分かった。子どもの発育阻害から成人の肥満に至るまで、何百万もの人々の健康が危険にさらされている中、さまざまな形態の栄養不良の改善が早急に求められている。
 国連は2030年までに、飢餓とあらゆる形態の栄養不良のない世界の実現を目指しているが、ここ3年の間、飢餓は増加を続け、10年前の状況に逆戻りしている状態だ。
 降雨量や気温の変動に非常に敏感な農業システムに人口の大部分が依存している地域では、栄養不足がより拡大している。過去5年間、猛暑や雨季の開始時期の早まり・遅れ、季節内の不均一な降雨分布などが農業生産への被害をもたらし、食料価格高騰や収入損失を引き起こし、食料入手を困難にしている。こういった現象が栄養不良の撲滅を遅らせているという。
 2017年には、5歳未満の約1億5100万人の子どもが栄養不良により低身長であり、1億6500万人だった12年に比べても、それほどの改善が見られていない。地域別では、発育阻害の子どもたちの55%がアフリカ、33%がアジアに住んでおり、低体重児の割合ではアジアがきわめて高くなっている。ラテンアメリカ・カリブ海諸国ではその割合が100人中1人なのに対し、アジアではほぼ10人に1人が低体重児だ。
 また、世界の出産年齢の女性の3人に1人の割合が貧血であることが分かった。これもアフリカ・アジアに集中しており、北米に比べてその割合は3倍近く高くなっている。一方、アフリカとアジアでは、母乳のみで育つ子どもの割合は北米の1・5倍で、北米で6カ月未満の乳児のうち母乳のみで育っているのはわずか26%だ。
栄養不足と肥満が共存
 そして、飢えの向こう側では、成人肥満が深刻化している。世界の成人の8人に1人以上が肥満であり、この問題は北米で最も顕著だが、アフリカとアジアでも上昇傾向が見られる。現在、多くの国で栄養不足と肥満が共存し、同じ家庭内でさえ同時に存在しているという。
 報告書では、栄養価の高い食料へのアクセスを確保し、世代を超えて続く栄養不良の悪循環を断ち切るための介入策の実施ならびにその拡大を訴えている。同時に、安全で質の高い食料をすべての人に提供できる、栄養面に配慮した農業や食料システムへの転換も必要だ。また、気候変動の適応と緩和、災害リスク削減を促進する政策を通じて、気候に対するレジリエンス(強じん性)を構築するためのいっそうの努力が求められている。

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