ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2024年04月12日
2022年に訪問したガンビア、シエラレオネ、ガーナ同様、ザンビアでも「ビジョン・オブ・コミュニティ(VOC)」(ランディ・ホーグ代表による地域変革のためのリーダー研修を軸に、互いに学びあう人財育成を通して、自分自身ならびに自分たちが暮らす地域を主体的に変革していこうとする地域変革運動)に参加する人が増えています。
▲Ainoteザンビアのマイク代表とレオナルド
若者レオナルドを変えたVOC
ハンガーゼロのパートナー団体であるAinoteザンビアで活動している若者レオナルドもその一人です。飢餓・貧困に苦しむ家庭に生まれたレオナルドは、子どもの頃、国際NGOによる教育支援を受けて高校を卒業しました。学費、制服、教材、食料などすべて支援を受けていたため、家族は何も心配することなく彼を学校に通わせることができました。しかし、与えられるものをただ受け取るだけだった家族は、レオナルドが高校を卒業し支援が終わると同時に元の貧困状態に戻ってしまいました。この体験はレオナルドに大きな痛みと無力感を与えました。Ainoteザンビアのマイク代表に誘われてVOCの学びを始めた時、若者や女性を含む様々な地域住民が、自分たちが暮らす地域の課題を自分事として捉え、身近にある資源や自分たちの可能性に目を向け、まず自分が変わることから自主的かつ持続的に地域変革を行っていくという取り組みに心を揺さぶられました。そして自分が持っているものの活用として農業に励み、そこから得たお金で家具を作るための道具を買いました。家具作りの職業トレーニングを受けたことがあったからです。今、レオナルドは家具作りと農業でなんとか生計を立てようと努力しながら、自分を変えてくれたVOCをより多くの人たちに伝えるためにマイク代表と共にAinote ザンビアで活動しています。
カングムラでの農業実践の様子
生活困窮者たちが農業にチャレンジ
私たちは、そのマイク代表とレオナルドと共にAinote ザンビアの活動地であるカラング村を訪問しました。カラング村には約150の家族が暮らしていますが、その中でも特に生活に困窮している10家族がVOCの取り組みに参加していました。10人の参加者はVOCの学びと農具や種などの支援を受けつつ、それぞれが自宅の畑や庭で農業を実践しています。また、共同農園をみんなで管理し、将来は共同組合として登録することを考えているとのことでした。
訪問した時はちょうど端境期で、畑にあまり作物は見られませんでしたが、ナスの苗床を見せてもらいました。本来なら雨季の最初の雨がとっくに降っているはずが遅れて雨量が減っている、という懸念の声をあちこちで聞きました。気候変動の影響が、おそらくその原因にほぼ加担していないこんなのどかな村に及んで人々を飢餓に追いやるかもしれないと思うと、原因を作り出している側の国で暮らしていることに責任を感じずにはいられませんでした。