海外支援地活動報告/南部アフリカでの地域変革 | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。

海外支援地活動報告/南部アフリカでの地域変革

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 2022年に訪問したガンビア、シエラレオネ、ガーナ同様、ザンビアでも「ビジョン・オブ・コミュニティ(VOC)」(ランディ・ホーグ代表による地域変革のためのリーダー研修を軸に、互いに学びあう人財育成を通して、自分自身ならびに自分たちが暮らす地域を主体的に変革していこうとする地域変革運動)に参加する人が増えています。

▲Ainoteザンビアのマイク代表とレオナルド

若者レオナルドを変えたVOC

 ハンガーゼロのパートナー団体であるAinoteザンビアで活動している若者レオナルドもその一人です。飢餓・貧困に苦しむ家庭に生まれたレオナルドは、子どもの頃、国際NGOによる教育支援を受けて高校を卒業しました。学費、制服、教材、食料などすべて支援を受けていたため、家族は何も心配することなく彼を学校に通わせることができました。しかし、与えられるものをただ受け取るだけだった家族は、レオナルドが高校を卒業し支援が終わると同時に元の貧困状態に戻ってしまいました。この体験はレオナルドに大きな痛みと無力感を与えました。Ainoteザンビアのマイク代表に誘われてVOCの学びを始めた時、若者や女性を含む様々な地域住民が、自分たちが暮らす地域の課題を自分事として捉え、身近にある資源や自分たちの可能性に目を向け、まず自分が変わることから自主的かつ持続的に地域変革を行っていくという取り組みに心を揺さぶられました。そして自分が持っているものの活用として農業に励み、そこから得たお金で家具を作るための道具を買いました。家具作りの職業トレーニングを受けたことがあったからです。今、レオナルドは家具作りと農業でなんとか生計を立てようと努力しながら、自分を変えてくれたVOCをより多くの人たちに伝えるためにマイク代表と共にAinote ザンビアで活動しています。

カングムラでの農業実践の様子

生活困窮者たちが農業にチャレンジ

 私たちは、そのマイク代表とレオナルドと共にAinote ザンビアの活動地であるカラング村を訪問しました。カラング村には約150の家族が暮らしていますが、その中でも特に生活に困窮している10家族がVOCの取り組みに参加していました。10人の参加者はVOCの学びと農具や種などの支援を受けつつ、それぞれが自宅の畑や庭で農業を実践しています。また、共同農園をみんなで管理し、将来は共同組合として登録することを考えているとのことでした。

 訪問した時はちょうど端境期で、畑にあまり作物は見られませんでしたが、ナスの苗床を見せてもらいました。本来なら雨季の最初の雨がとっくに降っているはずが遅れて雨量が減っている、という懸念の声をあちこちで聞きました。気候変動の影響が、おそらくその原因にほぼ加担していないこんなのどかな村に及んで人々を飢餓に追いやるかもしれないと思うと、原因を作り出している側の国で暮らしていることに責任を感じずにはいられませんでした。

ジンバブエ・ムウェンバ村

ジンバブエでVOCの取り組みが始まる

 今回の訪問でもう一つ印象的だったのは、次の訪問国ジンバブエにAinoteザンビアのマイク代表が同行したことでした。ジンバブエで訪問したムウェンバ村は、穴ぼこの道路を120㎞以上車で走った先にありました。VOCのリーダー研修を受け地域での取り組みを始めたばかりでしたが、村人たちは環境に配慮した有機農法「Farming God's Way」を学んだことがあり、7年前から共同農園を行っていました。以前「Farming God's Way」を教える機関で働いていたことがあるAinoteザンビアのマイク代表は、その豊富な知識と経験をカラング村の取り組みに活かすためのヒントをたくさん得たと目を輝かせて帰路に着きました。それぞれの取り組みや成功例から学んだり一緒に課題解決を模索したりできるこうした相互訪問の機会を今後も後押ししていきたいと思いました。

モザンビークのヤングファーマーズ

モザンビークのYFPを視察

 今回の訪問の最後に訪れたモザンビークでは、ハンガーゼロが支援しているヤング・ファーマーズ・パートナーシップ(YFP)の取り組みを視察しました。YFPは、農業支援を通して若者の進学や就農をサポートする取り組みで、シトエ牧師の指導のもと共同農園で収穫したものを販売すると共に、参加している若者たちがそれぞれの家でも農業を実践しています。3年前に開始した時には12人の若者が参加していましたが、進学して引っ越した人や途中であきらめた人がいて、今は5人が参加していました。その後、ハンガーゼロの元派遣スタッフであったローレンス綾子さん(写真下最前列中央)と合流し、彼女が支援している幼稚園と教会の若者ミニストリーの働きを見せて頂きました。

皆様の支援がVOC活動を支えています

 今回の訪問では、ザンビアとモザンビークで活動地域を管轄する自治体のリーダーたちが「何をしてもらえるか」ではなく、住民が主体的に地域を変革する取り組みに理解と好意を寄せていたことが私たちにとって大きな励ましとなりました。飢餓や貧困のただなかで生きている人たちが、自分たちが暮らす村の資源や可能性に気づくことは容易ではありません。村に出向き、信頼関係を築き、VOCを通して飢餓と貧困に苦しむ方々を勇気づけ、気づきと行動へと向かうことができるよう献身的に手助けしているそれぞれの国のワーカーたちをこれからも支えていきたいという思いを新たにしました。

 ビジョン・オブ・コミュニティ(VOC)の活動はハンガーゼロ・サポーターのご支援、世界食料デー募金などにより支えられています。ぜひ応援をお願いします。

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