ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2024年09月20日
ハンガーゼロが、現地パートナーFHエチオピアを通して2018年から支援してきたアムハラ州のコミュニティでも、紛争は住民の生活や生計に多岐にわたる影響を与えています。FHエチオピアが実施したベースライン調査の結果によると、調査対象の子どもと女性のうち、67%が住んでいた場所を追われており、女子生徒の75%が家財を失い家族の死に直面しています。また、調査によると、回答者の23%が残酷な状況を目撃しており、1.4%がジェンダーに基づく暴力を自身が体験していました。調査結果は、対象者の46%が身体的暴力を、24%が性的暴力を受けたことを示しており、強姦や児童婚などのジェンダーに基づく暴力が蔓延していることがわかります。さらに、調査結果は0〜4歳の32%、5〜14歳の55%、15〜17歳の9%の子どもが保護を受けられない状態にあることを示しており、アムハラ地域は保護される権利を剥奪されている子どもの割合が最も高い地域の1つとなっています。
このような状況の中で、特に紛争の影響を大きく受けた女性や女児が、コミュニティにおいて心身ともに健康で社会的・経済的に良好な状態に向かうことができるようにと願い、以下の取り組みを行いました。
ⓐメンタルヘルスと心理社会的支援
ⓑ女性や女児の保護、子どもの保護、ジェンダーに基づく暴力の影響への対応
ⓒ基礎教育へのアクセスの確保と生理用品の供給
ⓓ紛争の影響を受けた家庭の生計を向上させるためのビジネススキル研修や必要な資金などの提供
受益者の選考基準については、住民代表、学校関係者、管轄行政の関係者などと予め以下のように合意されました。いずれも今回の紛争に関連して、
◦ジェンダーに基づく暴力の生存者である少女
◦「他の場所からの移動を余儀なくされた」もしくは「教育を続けることができなくなった」あるいはその両方である女子生徒
◦他の地域からの移動を余儀なくされた女性の世帯主
◦資産を無くし生計を立てる術を失った女性の世帯主
◦ビジネススキル研修に参加して小規模ビジネスに従事することに関心をもっている女性
選考の結果、ハンガーゼロの支援地であるレイ・ガイント地区では、女子生徒500人と世帯主が女性の44の家庭が選ばれました。
レイ・ガイント地区があるアムハラ地域では、武力衝突のため、長期に亘って学校が閉鎖されました。授業再開後も、精神的苦痛と生活費の高騰が重なり、退学を余儀なくされる子どもが後を絶ちません。また、戦闘による急激な環境の変化から、子どもたちの学ぶ意欲が減少していることも調査結果から見て取れます。ハンガーゼロはFHエチオピアと協力して支援対象の少女たちに必要な教材を提供すると共に、学校と緊密に連携して家庭訪問を実施し、授業への出席や成績をフォローアップして、紛争による影響を大きく受けた女子生徒たちが勉強を続けることができるように支援しています。
女性世帯主対象に経営管理スキル研修
家庭の生計再建のための取り組みとしては、地域を管轄する行政からファシリテーターとして専門家を派遣してもらい、女性の世帯主を対象とした経営管理スキル研修を実施しました。この研修は、現金給付条件の1つとなっており、対象の女性たち全員が参加しました。研修の主な目的は以下の通りです。
◦経営と販売に関する基礎的なスキルを身に付ける
◦どんな収入創出活動が可能なのかを見極め、その経営を成功させるための力をつける
◦最適な財務管理、貯蓄、収入源の多様化ができる力をつける。
◦それぞれの女性たちが立てた事業計画について話し合い、技術的課題を克服するための支援を行う機会とする。
事業計画の策定に基づいて現金給付
人道的危機の中で、家や畑、家畜などの資産を失い生計を立てる術を断たれてしまった人やそれまで行っていたビジネスが中断されてしまった人が生計を立て直すためには、能力やスキルだけでなく収入創出活動に従事するための資金が必要です。そのため、研修を修了し、事業計画を策定した44人の女性世帯主に対して、合計で743,952ブル/約200万円、1人あたり16,908ブル/約45,500円の現金給付を行いました。各家庭の取り組みが成果をあげ、着実に収入を生み出していけるよう継続して進捗をフォローアップしています。
■ ■ 皆様の募金がこの活動を支えています ■ ■
紛争の影響に苦しむ女性と子どもたちへのこれらの取り組みは、昨年の世界食料デー募金、クリスマス募金、ハンガーゼロサポーター募金により支えられています。