ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2025年07月08日
5期目となる2024年度は、①気候変動に配慮した方法を用いて農家グループの組織的な能力を向上させ、ビジネスとしての農業を強化する②地産地消を促進し、乳幼児の食についてのカウンセリングを提供する2つの取り組みを行いました。
3つの村から40名の農業研修生
前年に行った4期の活動では、ムンテイ、マイレペット、ムアラ・シブルットという3つの村の農家グループのメンバー40人(男性1人、女性39人)が農業センターで研修を受け、有機肥料、病害虫管理、気候変動に対応するための野菜栽培などを学び、それぞれの村のモデル農地でケール、インゲン豆、ほうれん草、とうもろこし、なすなどの野菜を育てました。収穫した作物は家庭で消費するだけでなく、地元の市場で販売しました。活動をする中で出てきた課題としては、洪水や干ばつによる作物へのダメージ、メンバー同士の協力不足、また女性がプロの農家として認知されていないという点が挙げられました。
その課題に対してシマエルクとシマブアイジェトの農家グループは、自分たちのプロとしての認知度を上げるために正式な組織として登録し、村に種や農具の支援を求めました。グループの収入向上のためにFHインドネシアは果物、野菜、花などの栽培の将来性について評価を行い、農産物の潜在的な購入者について調査しました。その結果、マイレペット村とムアラ・シブルット村では、ココナツ、バナナ、タロ芋、サゴ、野菜などの栽培に将来性があることがわかりました。調査の結果を基に農家グループは、市場の需要に合わせた農産物を作り、成長しつつあるメンタワイ島の観光市場に繋がっていこうとしています。
気候変動に対応した農業を学ぶ
農業センターでは研修施設の改修が行われ、研修センターや有機農業の試験場として活用されて、センターの運営費を捻出するために販売している農産物の生産量も上がってきています。更に気候変動に対応した農業の紹介、学生組織の活動、学校農園などの取り組みを通して、中高生が気候変動に対応するための基礎知識を身につけることにも、農業センターは重要な役割を果たしています。
貯蓄グループからの発展目指す
各貯蓄グループは、メンバーが貸付を受けて農業ビジネスを始めることを勧めています。その中で、貯蓄グループ協会を形成して情報共有と学びあいを促進し、アマル・セジャテラ・マンディリ組合への訪問を実施しました。(写真)この訪問によって貯蓄グループの代表者たちが、貯蓄グループから組合に規模を大きくすることで、行政の規則や基準に沿った社会的・経済的な影響を生み出すことができるという思いを持つことができました。
◉今後の計画にワクワクしています
訪問に参加した代表の一人は、「FHインドネシアの助言と指導のおかげで、私たちのグループは帳簿をより上手に、きちんとつけることができるようになりました。より幅広い共同事業を行っていくという計画にワクワクしています。アマル・セジャテラ・マンディリ組合を訪問させてくださりありがとうございました。協働事業を行うためには、信用、誠実さ、計算力が必要だということを学ぶことができ、私たちにとっては貴重な経験でした」と語っています。
「栄養ポスト」の取り組み
地域の人々は米やインスタント麺などの輸入食物に頼っている家庭が多く、インゲン豆、タロ芋、野菜、魚類などは地元で入手可能でありながら、十分に活用されていないことがわかりました。栄養ポストの活動では、妊婦・授乳中の女性が健康についてのカウンセリングを受け、栄養不良の子ども20人が、農家グループが育てたケールや卵、ほうれん草など栄養価の高い地産食品の提供を受けました。家族全員の栄養状態を改善するために対象グループは、料理教室を通して栄養について学び、地元の農産物を使った料理を習っています。対象グループの中には家事や生計のために参加できない人もいたため、訓練を受けた保健ボランティアが家庭を訪問して伝えています。
◉保健ボランティアの能力が強化
ムンテイ村の書記官は「FHインドネシアは、大変よく協力してくださり感謝しています。この村では初めての試みである栄養ポストの活動によって、保健ボランティアの能力が強化されました。将来的には、栄養ポストの機能を総合保健ポストへと発展させたいと思っています。FHインドネシアが引き続き、総合保健ポストの地域ボランティアたちをサポートしてくれることを願っています。」と語っており、それぞれの村の政府もコミュニティも、栄養不良と発育阻害の改善のため栄養ポストの取り組みを評価しています。今後は、村の予算をつけて栄養ポストの活動を持続可能なものにするための働きかけを行い、データ収集と保健ボランティアの能力強化を行っていく予定です。
この活動は「ハンガーゼロサポーター支援」と「世界食料デー募金」によって支えられています。皆様のご協力を感謝いたします。