【ケニア共和国】貧困率72%の地域が変わる | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

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【ケニア共和国】貧困率72%の地域が変わる

モデル農園プロジェクト.jpg

ハンガーゼロがFHケニアと協力して支援している、ンギライ・ウエストコミュニティはケニア西部にあり、乾燥してやや不毛な土地柄です。気候変動による悪天候に燃料などのコスト上昇が重なって食料価格が上がり、貧困に苦しむ多くの家庭が食料不安に直面しています。主な作物はトウモロコシと豆類で、食料の多様性に欠けるため、子どもの発育阻害や消耗症などの栄養失調が大きな課題となっています。この現状を打開するため、FHはコミュニティの住民と共にレテティ小学校にモデル農園を設立することにしました。

モデル農園の目的は、第一に栄養バランスのよい学校給食を継続的に提供し、それによって子どもたちの出席率を上げることです。同時に遊牧民のコミュニティにおいて家庭でも栄養のある食事を提供できるようにすること、農園の活動に日常的に従事する子どもたちが活動を通して農業の知識と技術を直接身に着けられるようにすることです。

各分野のリーダーと会合

ケニア03.jpg この学校農園設立を地域住民が自分たちのプロジェクトとして主体性をもって取り組むことができるように、様々な分野のリーダーと会合(写真㊦)を持ちました。これまで牧畜しかしてこなかったレテティの人々にとって、モデル農園の設立・運営は大きな挑戦となりますが、会合と研修を重ねる中で地域の人々の食べ物に対する意識が変わっていきました。

 農園は学校だけでなく、コミュニティ全体に新たな可能性を開いてくれるという認識が共有され、子どもたちのために役割と責任を果たすという想いを語るようになりました。選出された農園運営委員の一人は「これまでは、野菜といえばキャベツぐらいしか食べたことがなかったが、モデル農園ができれば、子どもたちが学校で野菜を食べられるだけでなく、農園で培った知識を家庭に持ち帰り、家でもいろいろな食べ物を口にすることができるようになる。」と期待を語りました。モデル農園プロジェクトに取り組むことで、地域の人たちにとって学校は単なる教育施設ではなく村の希望となり、みんなで学校を支えるという気持ちを共有するようになりました。

農園候補地の土壌改良に着手

ケニア4.jpg モデル農園がケニア政府の指針に沿ったものとなるように関係部署の職員の指導を受けた後、土壌の性質、学校の拡張計画、水はけを考慮して農園を設置する場所を選定しました。リーダーシップチームは、土壌分析の簡易テストを行い、以前学生たちが苗床を作る際に使った土と農園候補地の土を比較しました。その結果、農園候補地の土壌は有機的な土壌の改良が必要であることがわかりました。そこで地域住民が話し合い、女性は各家庭から肥料となる家畜の糞を集めて持ってくる、男性は木の切り株を取り除いて整地すると、ぞれぞれの役割を決めました。

 またモデル農園の土壌を肥沃にして水分保持力を高めるために、乾燥・半乾燥地帯で用いられるアフリカの伝統的栽植穴ザイを用いた農業の方法の研修を実施しました。参加者たちはモデル農園に適したザイの配置を考え、整地した農地の半分にザイを設置し、動物の糞などの肥料と土を混ぜたものをザイの穴の半分ぐらいまで入れました。

さまざまなガイドライン策定

ケニア5.jpg 今年3月には農園管理委員を対象とした研修が7回実施され、委員たちは期待する成果と課題について話し合いました。その中で、モグラやキツネなどによる根菜類への被害とともに収穫時に争いが起きる可能性が指摘され、その対応として財務に関する明確なガイドライン、記録の残し方、物事の決定の仕方などが決められました。

 必要な資材が順々に届く中、保護者たちが学校農園設立のために継続して働けるように、農園運営委員たちはスケジュールを作成しました。住民たちはそれに応えて、土壌改良のための継続的な肥料の提供、ザイを農地全体に掘ること、野生動物の侵入を防ぐフェンス作り、農園の更なる改善案の提供に合意しました。

野菜に適した植え付けを学ぶ

 農地開拓と整地が終わると、土壌特性評価試験の実施、農園のフェンス、貯水タンクと灌漑設備、農具の設置、農園運営委員対象のそれらの使い方の実地研修が続きました。農園にはケール、ほうれん草、トマト、玉ねぎ、ささげ、伝統野菜、すいかなどが植えられ、運営委員や生徒たちは、苗からの植え替えと直播きそれぞれの野菜に適した植え付けの方法などについて学びました。(㊤写真)農園での家畜の飼育は遊牧民である地域の人々が主導し、乳を取るのに適した山羊を選定しました。またこの農園の運営を管理していくチームが選出され、会計、書記、教師の1人が簡単な簿記の研修を受けました。

2025年9月 モデル農園を移譲

 農園の管理は2025年9月に地域の人々の手に渡されます。今後、このレテティ小学校のモデル農園が地域の人たちの手で用いられ、農業や関連ビジネスに従事する人が増えて生計に多様性が出ることが期待されています。このプロジェクトは、世界食料デー募金ならびにハンガーゼロサポーター支援によって支えられています。

 ケニアの全国平均36%に対して72%と貧困率が大変高いこの地域が、着実に変わっていく機会を与えてくださった支援者の皆様に感謝いたします。

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モデル農園プロジェクトは運営は運営委員会と生徒たちで取り組んでいます。

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