ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2025年12月22日

ハンガーゼロは2019年から海外パートナーであるFHインドネシアの活動を応援しています。10月に世界食料デーの現地報告者として来日した同代表のエフェンディ・アリトナン氏に活動報告と今後の計画について伺いました。
支援地域に選ばれたメンタワイ諸島は、スマトラ島西海岸沖に位置し、世界中のサーファーが訪れる美しい自然に恵まれた場所です。しかし、島では子どもの3人に1人が発育に問題を抱えており、津波などの自然災害や伝統的農業による収入不足が原因で、食料の購入が困難な状況にあります。食料自給が難しく、スマトラ島からの供給に依存しているため、栄養不足が深刻な課題となっています。
2019年から始まった「栄養バスケットプロジェクト」では、妊婦や授乳期の女性、2歳未満の子どもを持つ保護者に牛乳、卵、緑黄色野菜などを詰め合わせた栄養バスケットを週1回配布しました。保護者85人と保健ボランティア96人を対象に健康研修と料理教室を実施し、10品目の食品をバランスよく摂取することを推奨。その結果、10品目を摂取できている人の割合は4.7%から18.7%に増加し、出生時の体重も改善傾向にあります。
農業人材育成を推進するアグリセンターを改修
2024年からは「栄養改善と収入向上のための統合農業プロジェクト」が始まり、5つの農民グループに対して種の採取、苗木作り、有機肥料の活用、害虫管理などの研修が行われました。養鶏をきっかけに家庭菜園を始める農家が増え、地域では多様な野菜が栽培されるようになりました。さらに、医療従事者やボランティアによる栄養カウンセリングを行う場として「栄養ポスト」が設置されました。このポストは、住民が気軽に健康相談できる場所として機能し、栄養に関する知識の普及と健康意識の向上に貢献しています。住民が自らの健康を考えるきっかけとなり、地域全体の栄養状態の改善にもつながっています。

農業技術の提供により、農民の能力強化が進み、気候変動に対応した持続可能な農業への意識も高まっています。農業の後継者育成にも力が入れられ、青少年が環境に配慮した農業を学べる施設「アグリセンター」が改修されました。この施設では高校・中学校4校から87人の学生が研修を受け、次世代の農業人材育成が進められています。今後は「生産と栽培」「教育と研修」「ビジネスと市場」の3本柱を担う拠点として、さらなる改修が予定されています。また、地域では貯蓄グループの形成が進み、146人が6つのグループに分かれて事業開発や組合について学びました。これらのグループはFHインドネシアの関与がなくても活動を継続しており、農業関連ビジネスへの関心も高まっています。
農業をビジネスチャンスに
今後は、若者の「農民は貧しく教育を受けていない」という誤ったイメージを払拭するため、大学卒業後に農業で成功した人の話を聞く機会を設け、農業をビジネスチャンスとして捉える起業精神を育てていきます。
さらに、島の沿岸部にあるリゾートホテルに地域産の有機野菜や果物を販売することで、住民の貧困脱却を目指します。その実現に向けて、スマトラ島の2つの大学との提携を進め、調査研究やプロジェクトの質向上を図ります。
ハンガーゼロのこれまでのご支援に心より感謝申し上げるとともに、今後の計画を着実に進めるため、引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
インドネシア洪水緊急募金にご協力ください の
FHインドネシアでは、2025年11月末のサイクロンによる豪雨で大規模な洪水被害で出ている西部スマトラ島への緊急食料支援活動をしています。ぜひ緊急募金にご協力ください。こちらに記事
12月2日~1月末の期間、クリスマス募金となります。
今回支援する(クリスマス募金)毎月1000円から任意の金額で始めて頂けます。
継続的に支援する