ボリビア小西駐在スタッフ連載26「変わるものと変わらないもの」 | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

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ボリビア小西駐在スタッフ連載26「変わるものと変わらないもの」

ベルタちゃんの物語 ①

sayuri2020.jpg 私が彼女と出会ったのは6年前、彼女が10歳の時でした。ポトシ州・トロトロ郡の中心部から徒歩で約一日かかるサイチャニ・チコ村に住む彼女は、6人兄妹の4番目です。家族は農業を営んでいますが、その地域で最も貧しい家庭の一つでした。そのため、彼女は少しでも家計の助けになるようにと、ある日妹と2人で食料になる野鳥を狩りに行きました。木の低い場所に留まっている野鳥を見つけ二人で足音を立てないように注意深く近づいて行って、前を歩いていた妹がまさに野鳥を仕留めようと木の棒を力一杯後ろに振り上げた瞬間、丁度後ろにいたベルタちゃんの右目を直撃したのです。

失明、死に至る危険性

ベルタちゃん.jpg 悲鳴とともに大量の出血が!しかしそこは救急車も呼べない地で、村の人も車を所持していませんでした。しかも市の中心部にある診療所にたどり着けたとしても、そこでの治療が不可能なほどの重症でした。このままでは失明どころか脳が菌に侵されて死に至る危険もあります。とにかく応急処置をして、父親が急いで彼女をバイクでトロトロ市内へ連れて行きました。そしてその地域担当のFH注ボリビアスタッフに助けを求め、そこから公共バスで5〜6時間かかるコチャバンバの町へ搬送しました。

 しかし公立の病院には緊急手術が必要なベルタちゃんのような患者を受け入れる体制がありませんでした。私立のクリニックはありますが治療費が高額で彼らには支払うことができません。ベルタちゃんはFH米国のサポートチャイルドだったため、そのスタッフはFHコチャバンバ事務所の当時の責任者に電話で"彼女の治療費の支援をしてほしい"と助けを求めたのですが、かないませんでした。というのも当時のFH事務所にも彼女を支援してあげられる資金がなく、事務所責任者は苦渋の思いでそのことを告げたのです。

ベルタちゃんとお父さん.jpg

 その結果、ベルタちゃんは激痛に耐えながら、父親と公共バスで自分の村へ帰らざるを得なかったのです。このままでは命の危険にさらされます。一刻の猶予もありません。その時、私の携帯にそのスタッフからの緊急要請の電話がかかってきたのでした。

(次号へつづく)

小西駐在員連載26.pdf

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