ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2026年02月18日

ハンガーゼロの活動の柱の一つにビジョン・オブ・コミュニティ(VOC)の働きがあります。VOCとは、人材育成研修を通して女性や若者など様々な分野のリーダーの潜在能力を引き出し、飢餓や貧困に苦しむコミュニティの住民たちが、地域の資源や課題を分析し、自分たちの未来の姿(ビジョン)を描き、そこに向かって優先順位をつけて課題に取り組んでいく自主的で持続的なプロセスをサポートする活動です。取り組む課題は、飢餓や貧困からの脱却を目指す持続可能な農業、子どもの教育と安全のための村の学校作りなど地域共同体によってさまざまです。これまでにもニュースレターを通して紹介してきたコンゴ民主共和国のパートナー団体であるハンズ・オブ・ラブ・コンゴ(HOLC)のプウェトとカレミでの活動もVOCの取り組みです。
【カレミ】 「平和のための空間」で課題克服
南東部のタンガニーカ州にあるカレミでは、部族紛争で傷つけあったピグミーとバントゥの住民同士の和解と平和構築の取り組みが進んでいます。2019年の緊急食料援助に始まり、和解と共生のための研修と対話を経て、2021年からは対立していた部族同士の協力関係を深めるための農業活動を開始、また2022年からは定期的な対話の機会を設定し、小さな衝突が拡大・悪化するのを防ぐための仕組み「平和のための空間(Space for Peace)」の取り組みが始まっています。
現在、5つの村すべてで「平和のための空間」の会合が毎週開かれ、日々の課題や紛争の火種、自分たちのビジョン、農業活動などについて話し合われています。各村は、農繁期
(雨季)には2ヘクタールの共同農園でキャッサバを栽培し、乾季にもトマト、ナス、白菜、キャベツなどの換金作物を積極的に栽培するようになりました。平和な環境と共生の土壌が培われたことで、ピグミーとバントゥの住民たちが共に働くようになり、双方の暮らしは大きく改善してきました。かつては極貧の暮らしぶりのために差別を受けていた人たちも今では尊重されるようになり、どの村も共同貯蓄をし、お葬式や急病などの緊急時に助け合えるように備えています。

【プウェト】 13の村が自立に向けてチャレンジ
南端に位置するカタンガ州のプウェトではカレミよりも早くからVOCの取り組みが行われており、地域資源を活用して農業を行うことで、飢餓と貧困に打ち勝とうとする13のコミュニティをHOLCはサポートしてきました。2024年12月〜2025年6月の農繁期には、市場での作物の供給過多を避けるため、13の村のリーダーたちが話し合い、共同農園で栽培する作物をそれぞれの土壌に合わせてピーナッツととうもろこし(メイズ)に分けることを合意しました。8つの村は2ヘクタール以上の土地でとうもろこしを、別の5つの村はピーナッツを栽培しました。また乾季にはトマト、白菜、ナスなどの換金作物を栽培しました。
国内避難民としてゼロからスタートしたプウェトの住民たちは、自立に向けて大きく前進しています。かつては手が届かなかったムエロ湖の魚も今では買えるようになり、自分たちが育てた農作物と合わせて1日2食以上の栄養バランスのよい食事を摂ることができるようになりました。子どもたちの授業料も支払えるようになり、家を建てている住民もいます。どの村も貯蓄グループを形成し、緊急時に助け合えるように備えています。13の村のうち最初にVOCの取り組みを始めた3つの村は既にHOLCの手を離れ、自分たちで成長を続けていけるようになりました。
武装グループによる紛争への解決策
カレミ、プウェト共に住民たちによる地域開発が進展している一方で、課題にも直面しています。武装グループによる攻撃が定期的に起こっています。また道路の整備が不十分なためルブンバシなどの都市に農作物を運ぶことができず、腐敗やロスを防ぐために地域内で安価で販売せざるを得ないのが現状です。農作物を加工してパッケージを施し付加価値をつけることが1つの解決方法になるかもしれません。カレミでは、紛争につながる社会経済的要因を取り除くことを目指して、収入を向上し地域経済を活性化する持続可能な生計の取り組みについて、2025年から考え始めています。
給食支援で子どものたちの教育環境を改善
HOLCはまた、キンシャサとルブンバシで子どもたちのための給食の取り組みを支援しています。キンシャサのアソミプ孤児院では、112人の子どもたちの栄養を改善し幼児死亡率を減少させるため、米、豆、大豆パウダー、調理油、トマト、魚などを提供しています。孤児院の畑で栽培している農作物と合わせて給食が実施されており、子どもたちの健康、学校の出席率、生活状況ともに改善しています。ルブンバシのキリスト教会では、日曜学校に来る青少年136人に給食を提供することで、アルコールや麻薬に溺れて破滅の道に陥ることがないように手を差し伸べる機会を作っています。
HOLCの活動は、世界食料デー募金、クリスマスキャンペーンなどによって支えられています。また、すべてのVOCの取り組みはハンガーゼロサポーター支援によって支えられています。皆様のご支援を感謝いたします。