世界の食料安全保障のいま | 世界の飢餓ニュース | ハンガーゼロ

世界の飢餓ニュース

私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。

世界の食料安全保障のいま

ロシアによるウクライナ侵攻と食料供給について国連など関係機関が現状の見通しを報じている。

1.ウクライナ戦争と食料供給
いうまでもなくウクライナは世界の主要穀物輸出国の一つである。ロシアによる軍事的脅威と穀物輸出の一部停止により、食料供給に不安が高まった。とくに黒海港封鎖が穀物輸送を困難にさせている。長年ウクライナは、国際社会において穀物供給国として大きな役割を担ってきた。小麦、トウモロコシなどの穀物の主要供給国であり、アフリカの多くの国がこれに依存している。たとえばイエメンは、ウクライナからの小麦輸入は、そのまま同国の食糧供給に影響を与えることになる。

2.天候と食料供給
気候変動リスクは高まり続けている。異常気象、特に猛暑と降水不足、アジア地域の農作物生産が影響を受けている。中国の穀物生産はエルニーニョ現象による猛暑で悪化した。世界最大の人口を擁するにいたったインドはコメ輸出を一部禁止。食料不足と市場経済のバランスの難しさが表面化している。インドの輸出禁止は、世界のコメ市場に影響を与えている。

3.穀物供給における現状のリスク
ウクライナ戦争と気候変動は、世界の穀物供給に関する予測に、さらなる不確実性を加えている。ただし経済協力開発機構(OECD)によれば、大規模な価格上昇可能性は現時点では低いと考えられている。各国が冷静さを保ち、市場の緊張を助長しないこと、これが食の安全保障と安定供給にとって重要である。国際穀物評議会の8月予測の最新データは、生産量は減少するものの、全世界の生産量が 22億3,000万トンをわずかに下回るに留まり、世界生産量が堅調である」との見方を示している。無論、価格上昇リスクは、IMFが指摘するように、黒海封鎖の如何によって穀物価格が10~15%上昇する可能性はある。
カザフスタンでは予想よりも良い穀物収量が見込まれている。またエルニーニョ現象の副産物としてアメリカ大陸における冬小麦の生産量が上昇する可能性もある。南米の気候は、2024年初頭に収穫される大豆やトウモロコシにとって最適な気候になるとの予測もある。

世界各地における戦争と紛争、また気候変動は「貧困と飢餓の撲滅」にとって、依然高いリスクであるが、人々が食べるに十分な食料が存在している。紛争解決、再分配と技術の共有が喫緊の課題となっている。

Image by Barbara Rosner from Pixabay

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