気候変動と食の安全保障 | 世界の飢餓ニュース | ハンガーゼロ

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気候変動と食の安全保障


 FAO(国連食糧農業機関)が新たに報告書を発表。過去30年間、気候変動に基づく災害で失われた農作物と家畜生産の総額が3兆8000億ドル相当に達した。当然、これらが本来の用途で活用されていれば「貧困と飢餓」対策として非常に有効なものだった。
この数値は、年間平均1,230億ドルの損失であり、世界の農業国内総生産(GDP)の5%相当になる。同報告書は、農業生産に焦点を絞り災害の影響を分析した世界初の推定だ。同様の手法で漁業、水産養殖、林業なども加味したデータを含むなら、損失増加の可能性がある。

いうまでもなく農業は自然資源や気候条件に依存している。災害リスクが最も高い分野であるゆえに、気候変動による災害が続発すると食料安全保障に直接的な悪影響が及ぶ。結果、農産物の生産・流通システムの持続可能性を損なう可能性がある。

同報告書によれば、災害による損失は、低所得国と下位中所得国に大きな影響を与える。場合によっては、ある国の農業GDPの15%の損失を計上したこともある。また小さな島嶼開発途上国にも大きな影響があり、農業GDPの7%近くが失われたといわれる。

加えて、主要農産物に関連した損失が増加傾向にある。穀物、果物、野菜、砂糖、作物、肉、乳製品、卵などの損失は年平均で数百万トンに到達する。これらの損失は、世界の食料供給に暗い影を落とし、食料不安を増大させている。

気候変動による災害リスクの増加が、貧困と飢餓の増加に直結することは広く知られているが、社会基盤の脆弱性の増加は、そのまま経済的リスクともなることは注意せねばならない。年々激化する災害被害に対応するためには、気候変動対策と同時に、貧困と飢餓への対策が急務である。災害リスク管理を強化し、科学的予測にもとづく行動を取ることが重要となる。気候変動に対応できる農産物システムの構築、その回復力向上、さらに今までの損失を最小限に抑える仕組みの開発は「貧困と飢餓」の撲滅への一歩となる。

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