私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年05月13日
4月21日、キリスト教の復活祭のニュース直後の訃報に世界が悲しんだ。国連食糧農業機関(FAO)は、屈冬玉(チュー・ドンユィ)事務局長による談話を発表。屈氏は「教皇フランシスコが教えてくれたこと:体を養い、魂を尊ぶ」と題して、貧困と飢餓の撲滅のために教皇フランシスコの業績をたたえた。
同談話は、教皇フランシスコの一貫した姿勢は、食料を単なる商品でなく、権利であることを我々に思い出させ、基本的人権の一部としての食糧へのアクセスを教えたと指摘。食糧安全保障が、物流と生産性の問題を越えて、人間の尊厳の問題、生命そのものの神聖さ、人類の文化と各共同体に不可欠の思いやりと絆に関わるものであると教えたことに注目を促した。また教皇フランシスコが、それぞれが世界に食料を供給する使命を果たすとき、単に空腹を満たすだけでなく、弱い立場の人々、社会的に疎外された人々の人間性を尊重すると表明したことについて、深く思い出すように述べた。
屈事務局長は「国連食糧農業機関(FAO)では、教皇と長く有意義な対話を行う機会に恵まれ、ときに直接会い、互いの使命について幾度となく激励を受けたことを光栄に思う、また『私たちは質素な生活をしているが、しかし質素な仕事ではない』というモットーを共有していた」と述懐した。
事実2022年以降、教皇フランシスコは、紛争とパンデミックで苦しむ人々を支援するFAOの活動を称賛し、農業食料システムの根本的変革の必要性を訴え続けていた。特に教皇フランシスコは、家族農家などの小規模生産者、飢えた子どもといった、見過ごされがちな人々への思いやりと尊厳を重視すべきであると呼びかけた。「食糧の提供は慈善ではなく、正義であり、食糧の無駄、飢餓への無関心は、人間性への裏切りである」と警鐘を鳴らし続けていた。教皇フランシスコ自身が貧困と飢餓の撲滅、人々のより良い生産・栄養・環境・生活の実現に向けて、倫理と行動を結びつけて前進した思いやりの証人だった。
キリストの証人である教皇フランシスコは、同時に、貧困と飢餓の撲滅のために働く者でもあった。
UnsplashのAshwin Vaswaniが撮影した写真