私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年05月13日
南スーダンにおける貧困と飢餓は依然大きな問題となっている。同国は紛争と飢餓という二重の危機に直面しており、貧困と食糧不安が過去最悪の水準に達した。国連世界食糧計画(WFP)によれば、人口の半数以上にあたる約770万人が深刻な食料不安状態にある。とくに北東部の上ナイル地域では約310万人が飢餓に直面している。すでに上ナイル州では、戦闘激化によって約10万人が避難を余儀なくされている。これを受けて、WFPは複数の郡で食糧配給を一時停止。支援を再編成している。すでに栄養失調の子どもが平均17%に達するなど、人々の生活が崩壊している。加えて不作期に入ったことが、貧困と飢餓の拡大に拍車をかけている。
WFPは、交通手段がない地域には空中投下で支援を行っているが、これは通常の陸路・水路輸送の最大15倍のコストがかかる。また雨季の接近により物資の備蓄に使える時間が限られており、対応の緊急性は高まるばかりである。
現状2025年末までに450万人への支援が必要であり、それを継続するためには3億9,600万米ドルが必要となる。資金不足は、そのまま支援の不足となり、餓死者の数に繋がることになる。ジョングレイ州ピエリ、マラカル、ボル、ジュバなどの各地域に食糧備蓄が進められているが、職員の安全確保が難しい地域への配送は依然として課題となっている。
また一方で避難民増加と公衆衛生悪化に伴い、上ナイル州ではコレラが流行してしまっている。WFPは35トンの医療・水衛生物資を空輸し、国連人道支援航空サービス(UNHAS)は、紛争地への人員および物資輸送を継続しているが、問題解決には至っていない。
この南スーダンの状況は「貧困と飢餓の撲滅」を目指す国際社会が緊急に取り組むべき課題を浮き彫りにしている。貧困と飢餓の撲滅は、ただの緊急支援ではなく、紛争の解決、持続可能なインフラ整備、地域社会の自立を支える長期的な戦略が必要不可欠である。
南スーダンの人々が「紛争と飢餓の牢獄」から解放され、貧困と飢餓から回復し、立ち上がるために必要なことは、国際社会からの継続的な関心と連帯である。他者への関心が、貧困と飢餓の撲滅への第一歩となるからだ。
UnsplashのMohamed Tohamiが撮影した写真