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FAOのアラブ地域での調査報告

 国連食糧農業機関(FAO)の報告(2025年6月)によれば、アラブ地域において人為的原因による農地劣化が深刻化している。調査によれば、同地域ではすでに約7000万ヘクタールの土地が劣化し、その約3分の2、すなわち4600万ヘクタール以上が農地である。この劣化は、気候変動による砂漠化の加速、水不足、過剰な農薬使用、灌漑による塩性化などの要因に起因しており、地域の農業生産を著しく損なっている。

 同様に、世界的に見ても、この傾向は強い。実に世界全体で166000万ヘクタールの土地が劣化したと見込まれ得ている。食料生産の95%が土地に依存していることを鑑みれば、これは飢餓と貧困の撲滅に向けた重大な障害となる。FAOは持続可能な土壌・水管理の推進を求めているが、特にアラブ地域で2600万ヘクタールの土地を回復できるなら、収穫格差の縮小、食料安全保障の前進の可能性があると指摘している。

 また、FAO2024年の国連砂漠化対処条約(UNCCD)締約国会議(COP16)において採択された「農地の劣化回復」に関する決定を支え、土地劣化中立(LDN)の目標に貢献している。FAO主導のNENA地域投資枠組みでは、各地域の先行事例の中から「チャンピオン国」を指定する。チャンピオン国は、その回復モデルを理解し、拡大する役割を担う。地域横断的な農業再生支援が始まっている。

 さらにFAOは、気候と土地に適した作物栽培を可能にする「適合性作物プラットフォーム」を展開し、政策と農業実践の基盤強化に貢献している。これらの取り組みは、農業生産を回復させ、貧困層の生計と食料アクセスを守る鍵となる。FAOは、農地の再生を通じて、飢餓を予防し、貧困の連鎖を断ち切ることを国際社会に強く訴えている。同様に、土地再生を国家政策に統合し、気候変動へのレジリエンス強化こそが、アラブ地域の乾燥地帯における生物多様性と生計支援の前提となることを示している。

 

Image by Aamir Mohd Khan from Pixabay

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