私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年07月08日
2025年6月現在、ソマリアでは紛争と異常気象によって深刻な食料不安が起きている。特に中南部から都市部へ避難する人々は、農村での生活基盤を失い、都市部にある難民キャンプに頼らざるを得ない状況にある。
モガディシュをはじめとする都市部では、かつて農業従事者であり自給自足の生活を送っていた人々が、干ばつのためにすべてを失い、飢餓の危機に直面している。2021年から2023年にかけて発生した過去40年間最悪の干ばつの影響はいまだに拭えない。農作物は壊滅し、人々は農村から都市へ流出し、雨が降らず不作となり、同国の農業の死活問題となっている。
最新の総合的食料安全保障段階分類(IPC)によれば、2025年6月末までに460万人が深刻な食料不安に陥ると予測された。180万人が5歳未満の子どもであり、同時に避難民である。火急の支援が必要であるが、世界食糧計画(WFP)は深刻な資金不足によって、支援対象者を2023年度の220万人から現在の82万人にまで削減せざるを得なかった。この数値は同国で貧困と飢餓にあえぐ人々の18%にも満たない。
避難民キャンプでの栄養失調も課題となっている。住環境の劣悪さ、衛生環境の不足が主要因であり、子どもらは命の危険にさらされている。加えて気候変動による暴風雨、洪水といった災害が都市部避難民の生活環境を悪化させ、健康被害と安全リスクも拡大している。
貧困と飢餓の撲滅のためには、住環境の整備も重要となる。しかし国際移住機関(IOM)も資金難に直面しており、ソマリア全土900の難民キャンプにおいて、基本的なサービスやインフラが崩壊しかけている。
ソマリアの事例は、紛争と気候危機が複合的に作用し、貧困と飢餓の悪循環を強化することを示している。WFPやIOMなどの国際機関は、日本、アメリカ、ドイツ、フランス、カナダ、デンマーク、韓国、サウジアラビア、欧州連合、アフリカ開発銀行などからの支援を受け活動しているが、なお資金不足が続く。
貧困と飢餓を撲滅するためには持続的かつ大規模な資金支援の再確保、気候変動に強い農業技術の導入、そして地域社会の再建と生活手段の再構築が不可欠である。人道支援だけでなく、根本的な貧困削減と気候に対する柔軟性の強化、その長期的戦略が今こそ求められている。
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