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ハイチにおける貧困と飢餓の撲滅、その国際社会の協力

 国連食糧農業機関(FAO)と国連中央緊急対応基金(CERF)は2025年9月18日、ハイチ北部および中部県において「貧困と飢餓の撲滅」を目的とした緊急支援を開始した。本取り組みは、避難民やドミニカ共和国からの強制送還者、さらに彼らを受け入れる地域社会を対象とし、家族が自ら食糧を生産できる環境を整備すると同時に、繰り返される自然災害に対する回復力を強化するものである。
 背景として、IPC分類(総合食料安全保障の分析*2024年9月時点)がある。同分類において、ハイチ人口の約半数が「危機」段階以上とされ、農村部住民は深刻な食糧不足と栄養失調の危険に晒されている。同国で農業と畜産で生計を立てる人々の未来のためには、貧困と飢餓の連鎖を断ち切らねばならない。
 今回の緊急支援はドンドン地区など、プレンヌ・デュ・ノール、ベラデール、ラスカオバなどの1,500世帯(約7,500人)が対象である。1,200世帯に黒豆9トン、落花生の種子3トン、家畜飼料エレファントグラス60万本が配布され、90日以内に250トン以上の食糧生産の見込みとなっている。この支援は、最大8,000世帯、半年分の食糧を確保し、食生活の多様性の改善にも資することを狙う。同様に現金給付により資材売却を回避し、短期的な食糧需要を補う仕組みも整えられている。
さらに灌漑用水路19キロメートル以上の復旧、家畜シェルター200棟の建設が進められ、300世帯に直接的な収入機会と農業基盤強化がもたらされている。また400人の農家が気候に適応した農業技術の研修を受け、生産性の向上と気候変動への適応力強化を図っている。
 これらの取り組みは隣国ドミニカ共和国からの送還者の集うベラデール、暴力増加により市場が混乱しているラスカオバスなど、社会的・気候的ストレスの重なる地域で展開される。
FAOハイチ代表は、この緊急支援が一時的なものに留まることなく、農村社会に永続的な影響を与えるものだと強調。緊急食糧支援と同時に農業基盤を整備し、気候変動への備えを推進することだけが、同国における「貧困と飢餓」の根本的解決に直結するからである。FAOとCERFは、即応的な人道支援と長期的な回復力強化策を組み合わせることで、地域住民の生活を守り、食糧安全保障を確保し、復興と安定に向けた基盤を構築している。ハイチの取り組みは、国際社会が「貧困と飢餓の撲滅」を実現するための実践的かつ包括的なモデルである。

Image by Jörg Haller from Pixabay

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