私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年10月03日
世界食糧計画(WFP)は2025年9月12日、学校給食の普及が「貧困と飢餓の撲滅」に果たす役割について報告発表を行った。現在、世界で4億6600万人の子どもが政府主導の学校給食を受けている。給食の提供を受ける子どもは過去4年間で20%増、約8000万人増加した。この進展は、COVID-19による教育と栄養の危機の中で2021年にフランス、フィンランド、ブラジルの支援により発足した「学校給食連合」が大きな契機となった。同連合にはユニセフ、ユネスコ、国際農業開発基金(IFAD)、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)が参加し、当初40か国で始まった取り組みは現在100カ国以上に拡大している。
学校給食は単なる食糧援助には留まらない。教育・健康・社会保護を支える基盤として位置づけられている。1963年にトーゴで始まったWFPの給食支援は、当初、余剰食糧を利用する小規模な施策にすぎなかったが、2000年代以降は持続可能な国家政策に統合される方向へ進んだ。ケニアのWFP給食支援では10カ年計画を経て2019年、同国政府が全面的に継承した。現在、約50カ国がWFPの支援を受けながら自国プログラムを運営している。
特に「地産地消型」の学校給食は、地域農家の収入向上と地元経済の強化につながる戦略として注目されている。ハイチやエチオピアでは、農家が供給する野菜が学校給食に直接利用され、農業と教育の双方に利益をもたらしている。WFPの報告によれば、学校給食は子どもの学習と健康を改善するだけでなく、740万人の調理師(大半は女性)の雇用を創出し、地域社会の生活基盤を強化している。
また、学校給食は親にとって子どもを学校に通わせる動機となり、教育機会の拡大を促す。低所得国では依然として子どもの30%しか学校給食を利用できていない。高所得国では80%に達しており、この格差是正のためには、さらなる国際的支援が不可欠である。実際、世界全体の学校給食関連投資は2020年の430億ドルから2024年には840億ドルへ倍増しており、各国政府の政治的意思がこの拡大を後押ししている。
このように学校給食の拡充は「貧困と飢餓の撲滅」のみならず、教育、栄養、農業振興、ジェンダー平等を同時に推進する包括的な戦略である。ナイジェリアやハイチを含む多くの低所得国では資金不足が依然深刻であるが、国際社会が連帯し、学校給食を持続可能な国家制度として根付かせることが、将来世代の生存と発展を保障するために不可欠となる。
UnsplashのAdriel Prastyantoが撮影した写真
9月1日~11月末の期間、世界食料デー募金となります。
今回支援する(世界食料デー募金)毎月1000円から任意の金額で始めて頂けます。
継続的に支援する